お疲れ様でした

浜松市でコロナが治りきらない中、大きな声では言えませんが、シン・エヴァンゲリオン観て来ました。

丁度、主人公たちと同じ年齢で作品に出会った自分にとって、今回の公開は「祭り」でありまして。前日、率直な反応として、眠れなかったのであります。

さてさて、どんな作品だったか、語りたくてしょうがないので、ネタバレも含むと思われますので、ご注意を。

端的に感想を述べると、「庵野さん、お疲れ様でした」です。

前作「エヴァQ」にも出てきた単語で、「エヴァの呪縛」と言うものがあったが、一人の作家として、エヴァが足かせのように常にくっついていたのだろうと思う。ガンダムの富野氏もボヤいていたらしいが、「自分はガンダムしかやらせてもらえない」みたいな気持ちがあったのだと思う。ある意味、キラーコンテンツを持つが故の悩みとでも言うのか、ド凡人からしたら憧れてしまうけど…。

話がややずれてしまうが、自分が作品を観るときに心がけている事があり、複数層に分けると言う事。

一層…ストーリーの把握

二層…作品のテーマ

三層…作家の思想

です。これは、元ガイナックスの社長・岡田斗司夫氏の受け売りなので、ご興味のある方は是非。

ストーリー…刃牙。父親との親子喧嘩。

作品のテーマ…エヴァからの卒業。

思想…奥さん大好き、ありがとう。これからもよろしく。

かなぁ。

個人的な面白い気づきとして、今回の「新劇場版」からの新キャラ「真希波・マリ・イラストリアス」は、明らかに奥さんの安野モヨコじゃね?というのがあった。

あと、アスカ。私小説の体裁であるエヴァにおいて、庵野氏の中の一つの人格としてのアスカと、向き合えた事が微笑ましかった。作品を観た当初は、庵野氏の元カノなのかなぁと思ったが、かなりどんでん返しな設定が明らかになったので、庵野氏は他人をここまで鮮烈に描く人柄とは思えない。故に、エヴァの呪縛に取り憑かれた一人として「好きだよ」と思いを伝えられた事は、同じく不器用な自分としても、素直に良かったと思える。

綾波は、エヴァそのもの・作品そのものとしての比喩的なポジションなのかなぁと。だから時間が経った分だけ髪の毛が伸びてたんかなぁ、と。

また、今後の予想として、エヴァは次世代のクリエイターに引き継がれる事になると思う。自分たちドンピシャ世代にとっても、恐らく庵野氏にとっても、エヴァは作品と同時に「現象」とも言うべき物である。その現象は、自分の意思とは別の所で起き、盛り上がり、狂乱し、時には激しく叩かれたりもする。前述の富野氏と全く同じかどうかは不明だが、「もういいなぁ」みたいな思いがあったのかなぁなんて考えてしまう。「あとは任せたよ」と。

作家は自分の恥部を晒してこそ魅力的な作家たり得る、なんて聴いたことがある。自分にとっても「現象」だったエヴァに、一つの終止符が打たれた。喪失感に苛まれるかとハラハラしたが、意外とスッキリした心持で助かった。

お疲れ様でした。コロナが無ければ、きっといい打ち上げになるでしょう。コロナの馬鹿‼︎